不法就労助長罪の厳罰化と企業実務への影響
― 技能実習・特定技能における不法就労の行政責任と「技術・人……

日本で事業を行う外国人経営者にとって、「経営管理(Business Manager)」の在留資格は重要な基盤です。
この在留資格は、単なる滞在資格ではなく「日本における事業活動を継続的に行っていること」を前提としています。
近年、入管当局は、税務・社会保険・労働保険等の法令順守状況を更新審査で厳格に審査する方向にあり、未加入や未払いのままでは更新が困難になる事例が増えています。本稿では、法令に基づく要件と実務上の判断基準を整理します。
在留資格「経営管理」は、【出入国管理及び難民認定法】に基づく在留資格で、日本で会社等の経営管理業務に従事する外国人に許可されるものです。
更新審査時には、事業の継続性・安定性に加え、経営者としての責務(税・社会保険等の履行)が適切になされているかが評価されます。
2025年10月に審査基準が改正され、労働保険・社会保険・税金等の履行が更新審査で評価される要件となっています。
日本で法人等が労働者を雇用する場合、以下の法的義務があります。
会社が従業員を雇用している場合、原則として健康保険と厚生年金への加入が義務です
(社会保険適用事業所)
従業員を雇用しているのに、国民健康保険/国民年金のみに加入させることは、本来の加入義務を満たしていません。
会社は雇用する従業員について、
に加入する義務があります。
労働保険未加入の場合、労働基準監督署等から是正指導が入る可能性があり、更新審査で不利に扱われることがあります。

入管当局は近年、審査基準を強化し、税/社会保険/労働保険の適切な履行状況を更新審査に組み込んでいます。
2025年10月施行の審査基準改正では、更新審査において以下の点が評価されます。
が審査項目として位置づけられています。
これにより、従業員がいるにもかかわらず労働保険や社会保険に加入していない会社は、更新審査で不利判断になる可能性が高まっています。
審査要領の趣旨として、
経営者として法令遵守が適切に実践されていること
法人運営が継続的かつ安定的であることが評価されています。
特に「従業員を雇用している場合の社会保険・労働保険への加入と保険料支払い」は、更新審査で必須の確認項目です。
外国人経営者が法人を設立し、従業員を雇用しているにもかかわらず自分や従業員を社会保険(健康保険・厚生年金)に加入させず、国民健康保険・国民年金のみ加入させているというケースがあります。
法的評価
結論として、
▶ 現行法では、従業員がいる場合は社会保険(健康保険・厚生年金)加入が原則であり、
国民健康保険・国民年金のみで済ませることは原則として認められません。
これは、社会保険制度の加入要件に基づくものであり、入管法自体に直接の規定があるわけではありませんが、更新審査で「法令順守」要件として評価される点は重要です。
つまり、会社が社会保険制度に加入していなければ、それが法令違反として扱われ、更新審査で不利になる可能性があります。
従業員を雇用しているにもかかわらず
という状況は、労働保険の制度に反します。
労働保険料の未納は、労働基準監督署からの指導・罰則対象となる可能性があり、入管審査においては「法令順守状況」として注視されます。
労働保険未加入は、事業運営上の重大な欠陥と判断され、更新審査でマイナス評価となり得ます。
2025年10月の新基準施行後、【既存の経営管理ビザ保有者には猶予期間(2028年10月まで)】が設けられています。この期間中の更新では、非加入状態であっても総合評価で許可される場合がありますが、法令順守計画があって実行可能性があることの立証が必要とされています。
2028年10月以降の更新では、新基準に完全適合していることが原則条件となり、社会保険・労働保険未加入のままでは、更新拒否となる可能性が相当高くなります。
以下の対応により、更新審査の合格可能性を高めることができます。
・ 社会保険加入
会社が従業員を雇用している場合、健康保険・厚生年金への加入手続きを速やかに行い、保険料を納付すること。
・労働保険加入
雇用保険・労災保険の加入手続きと、確実な保険料支払い。
・ 書類整備
加入・納付証明書、社会保険関連届出書の控えを整理し、更新申請書類として提出。
・ 説明書類の添付
未加入の理由ではなく、加入計画・加入済みの証明・改善計画を説明文書として添付。