【2026年最新】外国人就労者のための法律ガイド(保存版)
― 技能実習制度の経過措置・育成就労制度・永住許可制度の改正……

近年、日本で生活し住宅を取得する中国籍の方は増加しています。永住者や長期在留者として日本で生活基盤を築き、日本の金融機関で住宅ローンを利用して不動産を取得するケースも珍しくありません。
しかし、不動産を所有する以上、将来必ず発生する可能性があるのが相続問題です。特に在日中国人の場合、日本と中国の法制度の違いにより、相続人の確定や不動産の相続登記が想定以上に複雑になることがあります。
例えば、次のような相談が実務では多く見られます。
・中国籍の夫が亡くなり、日本の自宅の相続手続をしたい
・中国に住んでいる父母が相続人になると言われた
・中国の証明書の取得方法が分からない
・相続登記が進まない
本稿では、法令および公的資料に基づき、在日中国人の相続に関する法的構造と実務上の注意点について解説します。
相続手続では、まず「どの国の法律が適用されるか」を確認する必要があります。
日本の国際私法にあたる「法の適用に関する通則法第36条」では、次のように定められています。
相続は、被相続人の本国法による。
つまり、中国籍の方が亡くなった場合、相続人の範囲や法定相続分などは、中国法によって判断されることになります。
たとえ相続の対象となる不動産が日本に所在していたとしても、相続関係そのものは原則として中国法が適用されます。
中国では、2021年に施行された「中華人民共和国民法典」により相続制度が規定されています。
中国法における第一順位相続人は次のとおりです。
・配偶者
・子
・父母
この構造自体は日本の民法と大きく異なるわけではありません。しかし実務では、日本人の相続と比較して相続人の証明方法に大きな違いがあります。
日本人の相続では、出生から死亡までの戸籍を取得することで、親族関係を一連の書類で証明することができます。
一方、中国には日本のような連続した戸籍証明制度がありません。中国には「戸口簿(戸籍簿)」制度がありますが、日本の戸籍のように出生や婚姻などの身分関係がすべて時系列で記録されているわけではありません。
そのため、中国籍の相続では、次のような複数の資料を個別に取得して相続関係を証明する必要があります。
・出生証明
・婚姻証明
・親子関係証明
・死亡証明
・戸口簿

中国で発行された公文書を日本の手続で使用する場合、書類の真正性を証明する必要があります。
一般的には次のような手続が必要になります。
1 中国で証明書を取得
2 公証
3 アポスティーユ認証
4 日本語翻訳
中国は2023年にハーグ条約(アポスティーユ条約)に加盟しました。これにより、中国の公文書にアポスティーユ認証を付すことで、日本で使用することが可能となっています。
在日中国人の相続で、実務上大きな影響を与えるのが中国に住む父母の存在です。
中国法では、父母も第一順位の相続人となります。
つまり、被相続人に子どもがいたとしても
が同時に相続人になる可能性があります。
この場合、日本の不動産の相続でも、中国在住の父母が関与することになります。
必要となる可能性のある手続
中国に住む親族との連絡や書類取得が必要となるため、相続手続が長期化するケースもあります。

中国籍同士が日本で結婚した場合、日本では婚姻届が受理されます。
しかし、中国籍者には日本の戸籍が作成されないため、日本の婚姻届だけでは中国法上の婚姻関係を十分に証明できない場合があります。
特に相続手続では
を確認する必要があるため、中国側の婚姻登録状況が問題となることがあります。
中国では婚姻は民政局での婚姻登記により成立し、結婚証(婚姻証)によって証明されます。
もし日本で結婚した後に中国側で婚姻登録を行っていない場合、中国法上の婚姻関係の証明のために追加資料が必要となることがあります。
相続手続では、他に相続人が存在しないかを確認する必要があります。
そのため、被相続人に
が存在する可能性についても確認が求められます。
中国では、婚姻歴を一元的に確認できる制度が日本ほど整備されていないため、
などの資料を組み合わせて確認することになります。
日本に所在する不動産を相続する場合、相続登記を行う必要があります。
相続登記では、登記所(法務局)に対して
を証明する書類を提出します。
ここで重要なのは、
外国籍であること自体が問題になるわけではない
という点です。
実務上のポイントは
相続関係を客観的資料で証明できるかどうか
にあります。
在日中国人の相続では、制度の違いにより書類収集や手続に時間がかかることがあります。
そのため、不動産取得の段階から将来の相続を見据えた準備をしておくことが重要です。
具体的な対策
これらを事前に検討しておくことで、将来の相続手続を大幅に円滑化することができます。
在日中国人の相続では、日本と中国の制度の違いにより、相続人の確定や書類収集が複雑になることがあります。
主なポイントは次のとおりです。
しかし、必要書類を適切に収集し、相続関係を整理すれば、外国籍であっても相続手続自体が不可能になるわけではありません。
国際化が進む現代において、日本における外国人の不動産所有は今後さらに増加すると考えられます。
制度の違いを理解し、早い段階から適切な準備を行うことが、将来のトラブルを防ぐ最も有効な方法といえるでしょう。